2005年3月15日

今年は例年になく雪が多いようで山々にも海氷上にも真っ白の銀世界になっている。 私たちの進路となったマーカム・フィヨルドは、北極海から南東にのびており東西共にエルズミアの山々に囲まれた無風地帯になっている。 この時期にはソリを引くには早すぎたようで深雪と寒さでソリのすべりが極端に悪く、重くて重くて一日に5kmから6km歩くのが必死であった。 これが暖かくなってきて、太陽の高度が増し、深夜の気温差が大きくなると、硬い雪面と化し、 ソリの滑りもよくなり、距離も伸びてくることにつながるのだ。

マーカム・フィヨルドの深い雪と奮闘しながら歩を進める

現在は−40℃から−50℃の極寒ではどうしようもないほど滑らない。 朝7:45に私はテント内の寝袋、三重張りの寝袋から起き出し、気温をはかる。 鍋に雪を入れ、三人分の朝食用と一日の行動中に使うお湯を沸かす。だいたい9Lのお湯を作らねばならない。 特に−40℃と寒い朝はなかなかお湯が沸かない。 それで、少しずつ沸かして、一本のサーモスにお湯を入れ、それをみんなで使い合う間、 また次の湯を沸かすという風に、分けて沸かしていくと効率がよい。 コールマンのストーブにガソリンを詰め、圧力をかけるためのパンピングも寒さのために、 三倍ほど通常より動作が鈍い。お湯はいい。温かなティーやコーヒーを飲み、 ペミカンを塗り舐めて見る時が一番楽しく幸せな時間である。

昼休み休憩中、温かい飲み物でホッと一息

一つのテント(ノースフェイス)に三人が寝ているが、一晩中吐いた息と、体から出る汗が凍り、 寝袋の中にたまったり、テントの天井や周囲にくっつき霜でいっぱいだ。 それがタラタラと舞い降り、テント内で雪が降っている状況になる。 テント内で暖房のストーブを焚き、湿った手袋などを乾かすのだが、テントの天井は水滴がつき、湿ってくる。 三人が一つのテントに入ることには限界を感じている。

一日の行動を終え、テント設営に入る遠征隊

大場満郎    


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