2005年3月18日

ユーレカの気象観測所滞在

私たちはエルズミア島の深雪と急峻な山々の行進を断念し、 ユーレカにツイン・オッターでピックアップされて入った。

山の傾斜を調べる大場(ピックアップ前)

山の調査から戻る大場
山の傾斜角度が大きくソリを引いての行進は困難を極めた(ピックアップ前)

ルート・ハンティング(道探し)に出かけるステパンと大場(ピックアップ前)

ルート・ハンティングから戻る大場
深雪と急峻な山に妨害され断念せざるをえなかった(ピックアップ前)

ここはカナダ政府の気象観測所である。 ベース・マネージャーのアルさんが私たちに出発の準備が整うまでにここの施設を使わせてくださることになり、 しばし滞在することとなる。

この地域は白いオオカミがいることで有名だが、アルさんの撮影した写真を見せていただいた。 何とこの白いオオカミは、建物の周囲を歩くし、窓から中を覗いたり、人間と1mもの近さで平気にしているのには驚いてしまった。 とてもフレンドリーなので、一見エスキモー犬に似ており、飼い犬と間違えられそうなほど人間と親しく接している。 彼らの姿は野生とはかけ離れているように思えた。 互いに殺し合い食べあう時もあるということなので、野生の本能は失われていないようである。 人間を襲うということはないようではあるが、このような極北の大地によく生き続けているものだと尊敬の念を抱いてしまう。

ユーレカの歴史は、1947年に始まる。カナダ政府の気象観測所として設立され今に続いている。 北緯80度線、西経86度の周辺、S字型に南北に伸びたユーレカ・サウンド(Eureka Sound)の中間あたりにある。 正確に言うと、フォシェイム・ペニンシュラ(Fosheim Peninsula)の北西部にあたる。

ユーレカの近くに樹木が発見されており、昔、ここに森林が存在したことを教えてくれる。 気象所のアルさんがその物品を展示しているのを私達に見せてくれた。 ほとんど化石化したもの、まだ樹木の段階のものと、二つ並べてガラスケースに収められてある。 また、写真も見せてくれたが、直径30cmから50cmほどもある立木の状態のまま、 根元が残存しており、並木道ように続いているのだ。何ということだ。今では一本の木も生えないこのツンドラの世界が昔は青々とした森だったというのだから地球の歴史の長さを感じるではないか。

大場満郎    


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