2004年6月6日

ピックアップ

カナダのレゾリュート・ベイからツイン・オッター(スキーのついた飛行機)で飛んできたクルーに合流して、 とうとう、氷床へのピックアップに向かうことができた。ケンボレックのパイロット達は、ガムをかみながら、 ちょっとピクニックへでも行くような気軽さで「じゃ、ちょっと行って来ようか」という感じだった。


氷床の三日月。


海岸近く。

氷床は晴れていても、カーナーク上空に濃い霧が居座って、飛行機が離着陸できる状態ではなかったので、 大場さんと長谷さんは、ゴール地点で丸6日待ちぼうけとなってしまった。 一刻も早く帰りたいという二人の悲鳴を聞きながら、でも天気をどうすることもできず、 いったいいつピックアップができるのかわかならない日々が、ようやく終わりになる。


渦のような、クレーターのような雪面。


少しだけ、山肌が見えている。

2ヶ月ぶりのに氷の世界から、文明社会に帰って来るというのは、一体どんな気分なんだろう。 生まれ変わったような気がするのだろうか。人間が、どんな風に見えるのだろう。 長谷さんは土の感触を裸足で感じてみたいと日記に書いてあったけれど、 きっといろんなことがすべて新鮮に思えるのだろう。


なだらかな雪面。誰の足跡もない。

    


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