2004年6月9日

大島育雄さんのこと

世界最北の村グリーンランドのシオラパルクに大島育雄さんが住んでいる。 大島さんはイヌイット同様、漁師で生計を立てており、犬ぞりを走らせ、ボートでアザラシを狩り、毛皮を加工して着ている。 シオラパルクは人口が80人ほどで世帯数は16〜17世帯、子供は一世帯平均5、6人(多い世帯は8人、少ない世帯で2人)、 最近は、生活必需品が増え、お金さえあれば何でも買える状態とのことだ。

大島さんは1970年初めにシオラパルクに住みつき、そのころと比べて海の氷のはり方が、ここ5年間は悪いとのことだ。 1970年〜80年代は10月下旬に海が氷り、6月までは大丈夫だった。それが最近は12月下旬から1月にかけて凍り、5月にはダメになってしまう。 それで海氷上での狩猟期間が短くなり、ボートをつかった漁に代わってきているという。 また、彫り物(石や動物の骨での加工品)や公務員の仕事をする人も増えてきているという。 大島さんの場合、ウサギや狐(きつね)漁も行い、その毛皮で生計を補っているとのことだ。 人々の健康問題も最近はデンマーク本国から様々なレトルト食品が入り込み、高血圧や脳溢血(のういっけつ)の人も増えているらしい。 環境ホルモンについては、直接感じる経験はないが、昔チューレ地区にプルトニウムを積載(せきさい)した米軍機が墜落した影響なのか、 死んだアザラシが網にかかったことがあったと言っていた。長谷隊員の研究している黄砂については、 地元の土が雪や氷につくのではないかとの返事だった。

20年以上前、私はグリーンランド西岸の海氷を一人でそりを引き、村々を渡り歩き、1,400kmを67日間かけてシオラパルクにゴールしている。 その時、大島さん宅に1週間泊めていただいた経緯がある。当時小学生だったかわいく元気な長女トクちゃんが、 今は29歳でカーナークに移り住み、電気技師として働いている。 長男のヒロシ君もいたが、私が尋ねた年に生まれたマミちゃん、その後、ミカちゃん、アヤちゃんと今は5人の子供を持っている。 奥様のアンナを含め、7人家族である。大島さんは日本大学時代に北極点遠征で使う犬ぞり用の犬を探しにシオラパルクに入り、 アンナさんと知り合い、結婚することになったとのことである。 人の出会いは実におもしろい縁を作るものだ。大島さんたちの自然と解け合い、調和した生き方は、私たち日本人を始め各国の人たちが学び、 参考にしてゆかなければと思う。

    


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